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店を出た途端、押し殺していた感情と涙が一気に溢れ出す。

ずいぶん歳の離れた私をちゃん付けじゃなくてさん付けで呼ぶ理由…。

Aちゃんは好きな人の呼び名だから。

私は…違うから。

一緒で紛らわしいから区別してるとかじゃなくて、私はただ単に“違う”んだ。

分かってたのに。
別世界の人だって、叶わないって。

なのに次から次へと涙が溢れて苦しくて。
思わずしゃがみこんで、もう息も出来なくて。

そんなとき、裏口のドアが勢いよく開いて、焦った様子で駆け出そうとしていた横山さんと思いっきり目が合ってしまった。

目をまんまるくして、一瞬ぽかーんとしたかと思ったら。

「どーしたん??何があったん?」
「誰かに何かされたんか?」
って自分もしゃがんで私の肩を必死に揺さぶる。

「ちが…何も…されてないです。」
夜だし、犯罪にでも巻き込まれたと勘違いしてるみたいだから早く誤解解かなきゃって必死に訴える。

「…ほんまに?」
涙目で本当に心配そうに顔を覗きこんでくれる横山さんに伝わるように、私も目を見てしっかり頷く。

「ああー!良かったあ!」
ってひどく安心した声で横山さんが私を包み込むから、びっくりしてさっきまでの涙はピタッと止まった。

どうしていいか分からなくてしばらくそのまま身を預けてたら、くいっと顎を掴んで顔を上げられて。

目が合った瞬間に。

「すきや。絶対失いたくないねん。」
って言葉とともに唇が重なった。

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作者名: | 作成日時:2018年1月21日 17時

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