タカラモノ(黒) ページ41
「Aさん。ドリンクお願い!」
「はーい。」
湯気が立つ香り高いコーヒーをお客様の元へ運ぶ。
「コーヒーお待たせしました!」
「あ…ありがとうございます。」
すっごく綺麗な顔をしたイケメンさんが優しく微笑んでくれるから、かなりテンションが上がる。
このイケメンなお客様は横山さんって言ってうちの店長のお兄さんらしい。(名字は違うから理由アリっぽい?)
大学4年生。無事に就職も決まって卒業まで半年余り。
就活の疲れを癒してもらうべく私はこのカフェに通う側だった。
かっこいい店長さんと美人な奥さん。
私の就活の愚痴をいつも聞いて励ましてくれて。
偶然にも奥さんと私の名前が一緒だったからお互いに親近感も抱いて親しくさせてもらって。
奥さんにめでたく赤ちゃんが出来てしばらくお仕事出来ないって聞いたから大学の授業もほとんど無くて卒業を待つのみの私がバイトさせてもらうことになったの。
それから暫くして出会ったのが横山さん。
私みたいな大学生からしたらとても大人でかっこ良すぎてまさに別世界の人って感じ。
いつもスーツ姿が素敵で、私のいかにも就活ですってスーツ姿とは大違いだなぁなんて思わず苦笑いしちゃう。
きっと就職したら私の状況も色々変わるし、不安もあるから4月が来てほしくないような気持ちもあって。
だから、ここのバイトで横山さんを見られるのはそれまでのご褒美みたいな時間かな。
ご褒美あげるから4月から頑張れよって神さまに言われてるみたい。
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作者名:葵 | 作成日時:2018年1月21日 17時