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「いらっしゃいませ!」
ハキハキとした挨拶と優しい笑顔で迎えてくれたのはあの時の彼で。
「あ!さっそく来てくれたんですねぇ。めっちゃ嬉しいです。」
さらに目を細めてそんなこと言ってくれるから、社交辞令でお客さんを増やしたい為だって分かっててもドキッてしちゃう。
覚えててくれたんだ…嬉しいな。
「紅茶とミックスサンドお願いします。」
カウンターに座って周りを見渡すと、内装も少しレトロな感じでかかってる音楽もジャズ?なのかなぁ?よく分からないけどお店とマッチしてる。
木の温もりっていうのか…とても居心地がいい。
「今日はお仕事お休みですか?」
「あ、はい。」
「この間もスーツビシッと決めてカッコ良かったですけど、今日の服装も可愛らしくて素敵ですねぇ。」
「あ…りがとうございます。」
うわーっ!こんな事さらっと言えちゃうなんて!
接客業の方のスキル恐るべし。
で、それにイチイチ心臓がうるさくなる私のコミュニケーションスキルの低さ!
ほんと嫌になる。
お昼時でお店もなかなか忙しそうで彼と交わした会話はそれだけ。
でも温かい紅茶は身体にすうって浸透していく感じでとても美味しくて、仕事終わりにも時間が間に合えば来たいなあって思った。
レジで彼にお会計をしてもらって
「ごちそう様でした。」
と伝えてお釣りを貰うとき。
「ありがとうございます。今日来てくれて本当に嬉しかったです。」
「また…来てくれますか?」
なんてまっすぐな目で意味あり気に言われて。
「もちろん…来ます。」
って真っ赤な顔で返事するしかできなくて、そのあとはずっと彼の顔が頭から離れなかった。
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作者名:葵 | 作成日時:2018年1月21日 17時