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車に乗り込むとさすがに睡魔に襲われたみたいでめっちゃウトウトしとるけど必死に寝んようにしとる。

「住所ナビに入れたし、寝てもええで？」
「いや、運転して頂くのに申し訳ないですから…。」
「そんなん気にせんでええって。」
「いや、駄目ですよ…。」

そんな押し問答があって頑張って起きようとしとったAちゃんやけど、走り出して暫くすると瞼を閉じた。

よし、今なら…。
「なぁ、連絡先交換しようや。」
「ん…。」

今のは了承の「うん」って意味やんな。
断じて寝ぼけとるわけとちゃう。
強引でも何でもええやろ？

スマホ借りてソッコーでお互いの連絡先を入れたら、またバッグに戻した。

助手席で眠るAちゃんを時折、横目で見ながらめっちゃ幸せな時間が流れる。
ずっとこうしとりたいな。

なるべくゆっくり走ったけど目的地に着いてもうた事をナビが知らせて俺の幸せな時間は終了。

Aちゃんを起こそうとシートベルトを外して身体を傾けるとふと視界に入るオレンジのスマホケース。

今はまだまだマルにかなわんのやろ。
けど、そのスマホにマルの連絡先は入ってへん。

俺の方が好きって言ってくれるまでマジで頑張るわ。

そう決心してAちゃんの頬にそっとキスをした。