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「A先輩、相談があるんですけど…。」
新入社員のリオちゃんが深刻な顔をしてる。
とりあえず、そのまま夜ご飯に誘って話を聞くことにした。
「実は…部長に何度かご飯に誘われて…。」
「毎回断ってたら、仕事できつく注意されるようになって…。」
そこまで言って泣き出してしまったリオちゃん。
部長には私も何度か誘われたことがある。
でも、仕事ではそこまで関わりがないからそんなに支障は無かったんだけど、リオちゃんは部長のアシスタントだから…。
そりゃ、辛いだろうな。
でも、私に何が出来るんだろう。
私は嗚咽で震える彼女の背中をたださすることしか出来なかった…。
「お話聞いて頂いて少しスッキリしました。」
「部長の態度も変わるかもしれないし、また明日から頑張ってみますね!」
帰り際の彼女の無理に作った笑顔が胸に突き刺さる。
自分だって正直嫌気が差してる仕事なのに。
何とか今日まで平穏に保ってきた自分のポジションが揺らぐのが怖くて。
せっかく頼ってくれた後輩に何もしてあげられない汚い心が情けなくて。
帰宅して、部屋に飾ってある章ちゃんの絵を眺めながら涙が止まらなかった。
一点の曇りもない青空みたいな綺麗な絵。
今の私には絶対描けない。
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作者名:葵 | 作成日時:2018年1月21日 17時