横山さんの隣人はムラカミさん？ (ページ9)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:93,056 hit

9 ページ9

はぁ…と深く深呼吸をしてムラカミさんの玄関の前に立っとる。

手には大阪土産の豚まんと、俺なりに最大限綺麗に洗ったタッパーを持って。

震える手でインターホンを押すと、少しの間を置いてドアが開いた。

「こんばんは…。」
ちょっとビックリした顔で挨拶してくれるムラカミAさん。

元々大きい目がますます大きくなって、しかも上目遣いで…やっぱり可愛いわ。

「あの…急にすんません。」
「タッパーを返しに…。」

「あ、そっか。」
「わざわざすいません。」
「母が押し付けてしまって、逆に気を遣わせてしまいましたよね。」

「いや！そんな事…！」
「ホンマにめっちゃ美味しかったし！」
「あの…俺、不規則な仕事で…。」
「じ…自炊もようせんし…」
「こんなん嬉しくて…これからもして欲しいっちゅーか…」

焦ってここまで口走って、しまったと気付いた。
アカン！最後のは心ん中で言うやつや！
何を催促しとんねん！…俺のアホ！

ぽかーんとしとるムラカミさんの顔を見て、絶望感に襲われる。

はぁ…終わりや。
隣の変なオトコが飯をたかっとるって警戒されたやろうな。

俺の恋、終わるん早すぎやない？
悲しいわ…。

凹んどる俺の心にまさかの天使みたいな言葉が突き刺さった。

「あの…私の作った物で良ければ是非また召し上がってください。」