横山さんの隣人はムラカミさん？ (ページ2)

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そのイントネーションでどうやら関西方面の出身の方だと想像がついた。

こんな都会に出てきて方言を聞くと何だか少しだけ安心する。
私だけじゃないんだなぁ、って。

「娘が初めての一人暮らしなんです。」
「どうか宜しくお願い致します。」

そう言いながら、ご挨拶のタオルを押し付ける母に圧倒されながらも

「こちらこそ宜しくお願いします…。」
と、ぼそっと呟いた人の顔を見て、一瞬時が止まったような気がした。

関ジャニの横山くん！
…に似てる人？
本物なわけないよね。

でもかっこいい…。
急に忙しくなる思考回路。

「ほら！Aもご挨拶なさい！」
母に言われて我に帰り、慌てて頭を下げる。

「村上Aと申します。宜しくお願いします。」

「あ…はい。横山言います。こちらこそ宜しく。」

え！ヨコヤマさん？
やっぱり関ジャニ？
いやいや、まさか。そんな私の思考を遮るような母の声。

「そうだ！ちょっと待っててくださいね！」

そう言い残して母が部屋に戻り、横山さん似のイケメンと取り残されたこの状態が気まずすぎる。

「あの…引き止めてしまってすいません。」
「決して怪しい者ではないんですけど…。」

チラッとイケメンさんの顔を覗き込んで言い訳すると、一瞬だけ目があったけどすぐ逸らされて

「ああ…、はい。」
と一言だけ。

お母さんのバカ！って心の中で叫ぶと母が戻ってきて、さらに私は母に怒りを覚える事になる。

「これ、娘の為にと思って作りすぎたんですよ。」
「良かったらどうぞ。」