■ ページ40
.
それから何度か《安田くん》と食事に行った。
何度も彼の香りに翻弄されそうになりながら、
しかと幸せを噛み締めていた。
話す内容は思い出話だったり、仕事の話だったり。
小柄なのに男性らしい声とか、時々垣間見える冷静さとか、
中2のときには知りえなかったことも、私をどんどん虜にさせた。
「今度の土曜日、急に休みになってん。」
6連勤きつかったわぁと伸びをした。
今度の土曜日か。
私は、中学の剣道部の飲み会だ。
「だからさ、一緒に
花火大会でもどぉ？」
花火大会……？
「河川敷の花火大会。知らん？」
知っては、いる。
知ってはいたけど、花より団子な中学の部活メンバー。
花火より酒…とは言えず
『その日、中学の剣道部の飲み会やねん…。』
と、小さめな声で言った。
残念に思ってることを表現できただろうか。
いや、本当に残念なんだけど。
《安田くん》が花火大会に誘ってくれているのに
いつものメンバーで飲みって。
「そうなん！仲えぇなぁ。」
『うん、いつも私と大倉が幹事で。』
「そうなん。」
『でもいっつも幹事のうちら2人が1番飲んじゃって。笑』
そう言うと「想像つく。」と言ってニッコリ笑った。
そんなに見つめないでほしい。
照明暗めのお店だから、顔色は見えないはずだけど
《安田くん》にドキっとさせられる度、時が止まったようになる。
あ、そうじゃない。
どこか行ったことのないところへ連れて行かれているような、
そんな感覚になった。
花火大会なんて2人きりで行ったとしたら、どうなっちゃうだろう。
「終電とか困らへん？」
『うん、いつも困る(笑)。』
大倉はいつも後輩のうちに泊まるけど、
さすがに男子のうちに泊まるわけもいかないし。
大体24時間の決まってファミレスで友達と一夜を明かすことが多かった。
「それ、危ないやん。」
『うーん、気をつけなね。』
へへっと誤魔化すように笑った。
まぁ、きっと今度も飲んじゃって、ファミレスコースであることは確定しているようなもの。
「それさ、俺 迎え行こか？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
maruyamaryuh(プロフ) - いえいえ!!待ってます!! (2017年8月1日 23時) (
レス) id: b5f2cd076b (このIDを非表示/違反報告)
こまピペ(プロフ) - maruyamaryuhさん» あ！ありがとうございます！！ものすごい放置のこんなものに、コメントくださって…事情がありまして更新がなかなかできずにおりました。少しずつですが、更新したいと思います。本当にありがとうございます。 (2017年8月1日 12時) (レス) id: 779804cc92 (このIDを非表示/違反報告)
maruyamaryuh(プロフ) - 更新期待してます！ (2017年7月29日 11時) (レス) id: b5f2cd076b (このIDを非表示/違反報告)
こまピペ(プロフ) - Aliceさん» かしこまりました(*≧艸≦)何回もキュン死してもらえるよう頑張ります！！あ、由来は違いましたか！失礼しました。笑 引き続きお楽しみいただけたら幸いです♪ (2016年7月5日 12時) (レス) id: 779804cc92 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - こまピペさん» キュン死させちゃってください！安くんになら何回やられても大丈夫ですから！←名前の由来は不思議の国だけじゃないですけど、もちろん私も好きですよ〜( ´ ▽ ` )ﾉ (2016年7月5日 11時) (レス) id: 5e23960ad3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こまピペ | 作成日時：2016年5月28日 17時
