紡ぐ音【黒】 (ページ23)

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n 『.......それ、一人で抱えてたの？こっちで頼れる人とか見つかった？』

『手話教室の先生ぐらいかな、今の職場も紹介してもらって何とかやれてる』

n 『そっか、』

“ よかった ” と、手話をして

一口コーヒーを飲んだ彼が続けて俺に聞いたこと

n 『Aとも、話せた？』

『うん、Aにも耳のこと話してる』

n 『じゃなくて、別れたこと』

『.................』

n 『あいつ、ずっとお前のこと心配してた。どこかで元気にしてたらそれでいいって、そうやって自分に言い聞かせるしかないって。』

そう、だよな

勝手に居なくなって、突然再会してみたらこれだ

『.......今度ちゃんと話すよ』

n 『あいつ、多分まだ.......』

『.......なに？』

n 『ううん、なんでもない。』

そろそろ帰ろう、と彼は言った。

どちらからともなく連絡先を交換する雰囲気になって、たった数人しかいないLINEに大切な人の名前が追加される

『じゃあ、気を付けて』

n 『目黒も、連絡しろよ』

『分かった』

俺が一方的に連絡を絶って、最低なことをしたのに

7年間の空白をたった1日で大幅に取り返してくれた

そんな彼に、俺はまだ

一番の味方で居てほしいと願ってしまう。

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