紡ぐ音【黒】 (ページ21)

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n 『何も聞かないまま “ 話せない ” なんて決めつけて欲しくなかったな』

彼が発した言葉は当たり前のように手で紡がれて

昔と同じような優しくて柔らかい笑顔を向ける

『............手話、上手だよね』

n 『あぁ、まぁ.......目黒が連絡してこない間に色々あったのよ、俺だって笑』

『色々？』

n 『俺のこと聞く前に自分の話するのが先でしょ、時間あるならどっか入ろ』

そう言われて、この前Aとも話をした駅前のカフェに一緒に入った

※ 「ご注文お決まりでしょうか？」

n 「俺は....ホットのコーヒーを、」

注文を受けに来たであろう店員さんと、

注文したであろう翔太くん

その様子をどこか他人事のように見ていると

n 『注文、目黒は？』

あらかじめ翔太くんに何を頼むか伝えていたにも関わらず、メニュー表を俺の方に向けて注文を促される

こんなことは始めてだった

とりあえずメニュー表を指さして

“ これで ”

と伝えるように店員さんの顔をみれば、伝わったであろう復唱をしてテーブルから離れていった

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