特級教師、最強泣かせたってよ。【呪術廻戦】

《11》森本の度胸 ページ12

《森本side》



坊とお嬢が自分の部屋に戻ったのを見て、俺は口を開いた。






「こんちは、旦那さん」



「やっほ、森本くん」



「旦那さんも来てたんすね」



「たまたまね……」






旦那さんが顔を下に向けて沈黙する。



姐さんがスリッパを持ってキレてたのは分かった。



姐さんの隈が酷いのは、ここ1週間の労働のせいだけじゃないだろう。



俺は、処分がどうなろうと、



特級術師相手に、文句を言うことを心に決めた。





「…あの、旦那さん」



「なに？」



「姐さんと、喧嘩したんすか」



「…まぁねぇ」



「旦那さん分かってないと思いますけど、



姐さん、相当精神削ってやってますよ」



「…いやぁ、分かってる、分かって」



「分かってないです」






俺と目線を合わせずに、下を向いて喋る旦那さんが、



食い気味に言葉を挟んだ俺をびっくりしたように見た。






「旦那さんは分かってないです」



「…僕が、どう分かってないって言うの？」



「今、旦那さん授業してないんですよね」



「…うん」





もう7年の付き合いになる姐さん。



7年間も姐さんを見てきて、ここまで追い詰められてるのは初めて見た。



いくら旦那さんであろうと、姐さんをこれ以上追い詰めてほしくはなかった。





「姐さん、昼間は授業、夜は任務、睡眠時間は3時間、



これを1週間続けてるんですよ。



旦那さんがしょーもない意地でしない授業を、



同じ特級の姐さんがきっちり全部やってるんです」



「…え、自習とかにしてないの？」



「体術まで全部姐さんがやってます」





言葉を失った旦那さんに、俺は畳み掛けた。

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