特級教師、最強泣かせたってよ。【呪術廻戦】

《2》人の噂も七十五日 ページ2

「A、大丈夫か？」



『え？大丈夫よ』



「すじこ、明太子？」



『…えぇまぁ、事実よ』



「どうせAさんだけが悪いわけじゃないだろ」



『そうであってほしいんだけど、噂がなぁ…』







体術の授業中、木陰に座る私の隣に置いてある水筒を取りに、



真希と棘がこっちに歩いてきた。



パンダくんが後ろからひょこひょこついてくる。



余程げっそりしてたのか、真希に怪訝そうな顔をされた。



あの新任東京校教師、最強泣かせたって。



そんな噂が出回るようになったのは、喧嘩して泣かせた翌日だ。



全く、誰が噂を流したんだか。






「私も聞いたぞ、Aさんが悟を泣かせたって」



『誰から？』



「補助監督から」



『もう駄目だ』






唯一の救いは、私が悟の彼女であることがバレていないこと。



ただでさえ、悟を泣かせたとして物凄い批判が殺到したのに、



これで彼女だなんてバレたら死ぬしかない。



俺もう授業しない、と宣言した悟は、



本当に翌日から全て任務に切り替え、



全ての授業を私が請け負っていた。



…運の悪いことに、私も特級術師なもので。



昼間は授業、夜は任務、睡眠時間は3時間という、



超ハードスケジュールになっていた。



めちゃくちゃ眠い。



というか、そもそも私は、あまり体術が得意ではない。



術式もそれなりに強いものを持っているし、頭も悪くはないはず。



…が、体術に関してはセンスもなく、からっきしだった。



見兼ねた傑が特訓を付けてくれたのが懐かしい。



…はあぁ、改めてどうしよ。

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