続・最後の恋（緑） (ページ8)

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「大倉。話あんねんけど、時間ある？」

すばる君の真剣な顔に何か胸騒ぎがするけど、まぁ仕事の事やろって思ってその足でメシに行った。

「話って何？」

おしぼりで顔を拭きながら、なるべくフランクな雰囲気を作り出す。

「ああ、実はツアーのセットの事やねんけど、あの部分、Aに任せれんかな？って思って。」

今度のツアーは花がテーマになっとって、セット全体に相当な数の造花を使う事になっとる。

「あいつ結構本格的にそーゆーデザインも学んどったし、なかなかセンスあるんちゃう？」

確かに、Aの花束は何て言ったらいいんか分からんけどセンスが光っとる。

やけど…Aがあんな大きいステージのデザインとかイマイチ想像つかへん。

それに、俺の知らん過去を知っとるすばる君に嫉妬心が芽生えてそれを抑えるのに必死やった。

俺には想像出来んAの姿がすばる君には見えとるなんて…。

「Aに聞いてみるわ。」

そう声を絞り出すのがやっとで。

改めて自分の小ささを思い知った。

自分の彼女に巡ってきた大きなチャンスを素直に喜べへん自分。

これを機にすばる君とまた顔を合わせる事に不安な自分。

あーあ…Aの事を信じとればそんなん気にせんでええはずやのに。

ホンマ自分が嫌になるわ。