続・最後の恋（緑） (ページ20)

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え…。
すばるって言うた…。

まず自分の名前を呼ばれると思っとった俺は、ショックが隠し切れん。

やっぱり許してくれへんのかな…。

「階段から落ちて怪我して救急車で運ばれたんやで？」
「あんま心配させんなや！」
「大倉なんてどんだけ心配しとったか…。」

すばる君が努めて明るい声で答えてくれとる。

Aはじっと俺に視線を寄越して。

それから衝撃的な一言を放った。

「…大倉さんが何でここにいるんですか？」

「えっ…。」
“大倉さん”って…。

「そらお前の彼氏なんやから付き添うやろ。」
すばる君が戸惑いながらもAに答える。

「彼氏って…。すばるとは別れたじゃない。」

「やから、大倉が彼氏やんか。」

「えっ…。大倉さんが？私の？」

「………。」
「………。」
「………。」

みんなが一斉にだまりこむ。

これってもしかして…。
記憶喪失ってやつなんか…？

「…看護師さんに伝えてくる。」
その場から、いや、もしかしたらAが俺を忘れてもうてるっていう事実から逃げたくて、ナースステーションに向かう。

記憶が混乱してるようで…とたった今の出来事を告げると、先生に伝えます、とだけ返された。

一時的な混乱やんな…と自分に言い聞かせるけど、このいつまでも落ち着かん胸騒ぎは、そんな簡単な事ではないと知らせとる気がしてならんかった。