エイト集めました（短編） (ページ49)

今日:23 hit、昨日:1 hit、合計:578,854 hit

4 ページ49

とりあえず社長の耳に入れなアカンよな…。
気ぃ重いけど電話するか。

【横山が電話してくるなんて珍しいわね。】
【Aの引退のこと？】

社長、知ってたん？

【律儀なコだから、まずは私に話を通そうと思ったみたいよ？】
【去年から相談されてたの。】
【私が居なくなっても事務所の経営は問題ありませんか？って。】

どこまで気ぃ遣うねん。
Aの気持ち考えると胸が熱くなって不覚にも涙腺も緩んでまう。

【最近スカウトした子、昔のAと重なるのよね。】
【横山、もう一度スター育てない？】
【私は、Aにもアンタにも幸せになってほしいわ。】

【社長…。俺…。】
エエん？
Aを異性として見ても。
ずっと見んようにしてきたけど、見んようにって意識しとる時点でホンマはもう…。

【今まで我慢させてごめんなさいね。】
【行ってあげなさい、Aの所に。】

社長との通話を終わらせてAのマンションに車を走らせる。

凄いわ、Aの覚悟も社長の覚悟も。
俺も、腹くくらんといかんよな。

引っ越し手伝って以来、初めて入るAの部屋ん中。

緊張と不安の面持ちで俺を見つめるAを初めてきつく抱きしめた。