エイト集めました（短編） (ページ32)

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村上side

昨夜のAの電話が頭から離れへん。

確かに毎週興味もないフットサルに連れて行かれて、普通は嫌やんな？

よう一年も文句言わずについてきてくれとったわ。

ただ気になるんは、私だって本当は、で終わった言葉。

何が言いたかったんやろか。

あーっ！モヤモヤする！
コーヒーでも淹れて頭スッキリさせよ、思うて給湯室に近付くと女子社員のでかい声が耳に入ってきた。

「ねぇねぇ、明日の試合はさすがにあの地味女来ないよねぇ？」
「あれだけ村上部長と釣り合ってないって教えてあげたんだし、普通は来ないでしょ。」
「本当ウケるよね！従業員が地味女だけって、いかにも潰れそうな会社でさぁ、よくもまぁうちの会社の応援なんか来れるよね。」

はぁ？何言うてるん？コイツら。
勢い任せにドアを開けるとうちの部のケバいねーちゃんらが目ぇまん丸くさせとる。

ホンマやったら怒鳴り散らしてやりたいとこやけど、ぐっと堪えてなるべく冷静に話しかける。

「あんな…。」
「俺、そうやって自分の勝手なものさしで人を見下すヤツめっちゃ嫌いやねん。」
「よくも俺の大事な女をバカにして傷つけてくれたな？」

「悪いけど、練習ロクに見んとピーチクパーチク喋っとるのって目障りなんやわ。」
「もう来んといて。」

それだけ告げて給湯室を後にする。

めっちゃムカつくわ。
アイツらにも、何も気付かんかった自分自身にも…。