わたしの王子さま。＊ 短編集

前田健太 ( 運命 ) ページ35

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ドジャースに移籍して1年



この1年
野球でたくさんの経験をした俺が
野球以外で印象に残ってる経験といえば＿＿



*


「やべえー、わかんねえ。」



アメリカとか英語とか、全然分かんなくて。

カリフォルニアの中にロサンゼルスがあるんだ、
とか、そういうレベルで。



日本では超有名だった俺が、
アメリカでの切符の買い方すら分からないなんて。
恥さらしかよ



ちょっとアタフタしてると、
澄んだ声で名前を呼ばれて。


『...ぁ、マエケン？！』


入国してまだ1ヵ月にも満たない俺のことを
このドデカイ アメリカの中で知ってる人なんて
めったにいないと思うんだ。


『あの...前田健太さんですか...？』


そう話しかけてきたのは
明らかに日本人の女の子。


どうせここなら人が集ることも無い、

そう思って


「あ。はい。」


そう答えた。


『やっぱり！！私今年からLAで暮らしてて。』

『テレビで観てましたよ！巨人のファンなんですけどね^^;』

「ありがとうございます。笑 」

『あの、何かお困りでしたか...？アタフタしてたので』

「ぁあ、まだこっちに全然慣れなくて(笑)英語も分かんないですし。」

『それじゃあ、私が教えますよ！！！』


*

とりあえず困っていることを言うと
わかりやすく教えてくれたAさん。




どうやら彼女は、仕事の転勤によって
日本から ここアメリカに飛ばされてしまったらしい


「大変ですね、転勤とか」

『でもやりがいのある仕事ですし、すきです笑』


そう言って笑った彼女の笑顔が忘れられなくて


『じゃあ、私行きますね。野球、頑張ってください！』


この瞬間で終わらせたくなくて


「あの！...LINE、教えてくれませんか？」


『！！！...はいっ！//』



２人 この広いアメリカで出会えたのは

奇跡だ。



...いや、もしかしたら

運命なのかもね。




前田健太でした。


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