わたしの王子さま。＊ 短編集

砂田毅樹 ( いつ* ) ページ24

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『嘉智さんっ、おはようございます！』

「お、Aちゃんおはよう。今日も元気だね」



『隆幸さん〜今日もステキです』

「Aちゃんはお世辞が上手いなあ(笑)」



俺の彼女は、ベイスターズの専属カメラマンをやってて

朝から晩まで 選手達と一緒に行動。



当然、選手とも仲良くなるわけで。
というか、仲良すぎ。

みんなのこと下の名前で呼んでる。


それなのに、


『ねえ。すなだ。康晃さん撮るからどいて。』

『あー！康晃さん撮れなかった。砂田のばか。』


どうして彼氏の俺だけ名字呼び捨てなワケ？


.


「...というワケなんですけど、」

【はは、Aやっぱりおもしろいわ(笑)】


康晃さんに相談してみたはいいものの

笑われるだけで言葉のキャッチボールができてない
(野球ではちゃんと投げてくれるけど。)


居酒屋で頼んだ 生ビールを 一気に飲み干して

「Aが、俺のこと毅樹って呼んでくれるの、やってるときだけなんです」

【...まあ、ありえそう】

「え、どういうことっすか」

【Aってさ、ちょっとツンデレなとこあるじゃん？恥ずかしいのかもね】

【でもいつも言ってるよ、いつになったら砂田のこと下の名前で呼べるかなあ〜 って】


そんなの知らなかった。

「っえ、そーなんすか」

【うん、だからちゃんと言ってみたら？】


*


またいつものように朝行くと

『ラミさん〜！！！』

って 監督にまでデレデレしちゃってる感じで。



「A」

って、ちょっと怒りを込めて彼女の名前を呼ぶと

不安そうな顔をしながら

『砂田...どうした？』

って訊くA。



「ずっと聞きたかったんだけど」

「なんで俺のこと名前で呼んでくれないわけ？」

「ほかの先輩とかには普通に呼んでんのに。」


すると 彼女はゆっくり口を開いて

『...ず...いの、』

「は？聞こえない」

『は、恥ずかしいの！！！！砂田カッコイイんだもん！！！』


そんなことを言い出すキミ。


「いや、意味がわからない(笑)」

『砂田カッコイイから、名前で呼ぶと照れちゃう』

「そんなん練習しろや」

『ムリ...！』


「...でも、おれは呼んでほしい。」


真剣な目で そう言うと


『...よ、毅樹？//』


照れながらも言ってくれたキミ。


そんな彼女が愛おしくて

人目も気にせず ただただ、きつく

ひたすら 抱きしめた。



( 行為中は言うんだよなあ〜 毅樹！ って )

( ...うるさい砂田 )

( あ？シたい？ )


砂田毅樹でした。


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