【歌い手】僕がきみにプロポーズする5つの理由【短編集】 (ページ10)

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I promice you... from Ivu. ページ10

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「無責任だけど、けっこんしよーよ」

だってさ、ほっといたらおれじゃない男と結婚しちゃうじゃん。こんなんだしさ。

ダメダメだけど、おれ以外のものになってほしくないの。わかる？え、わかんない？わかれよ、そこは。意地で。

でもまあ、他より出遅れちゃったし。いや、そもそも出遅れるどころの話じゃないし。そこはごめんね。

あのバンドが好きだった。

あのときのピック、おれまだ持ってるんだけど。

あの店のタルトが好きだった。

でもあそこ、おじさんが体調崩してから味変わっちゃったし。

朝が弱いから、三限からしか出なくて、単位やばいっていっつも言ってた。

結局本気出して講義出はじめたけど。

小さい子どもが好きで、教育実習に行くって決まったときの顔がすごくきらきらしてた。

試験も合格してたのに。

そんな、まわりが『好き』であふれてたから。

だから、嫌だったし、悔しかった。

ほんとなら、こんな白、Aには着てほしくなかった。
白を着るみたいなビッグイベントは、祝福されなきゃいけないはずなのに。

おれが、目を離さなきゃ、よかっただけなのに。

「……だから、もういっかいだけ、チャンス、ちょうだい」

そんなの、届くはずないのに。バカみてー。