胃袋は掴まれた (ページ12)

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十二は越えられた２ページ12

頼まれていた食材と今日の夕飯の材料を部屋に運び込む頃には汗だくだった。1人でこんなことしている全国の主婦および主夫および……みなさん！尊敬に値します。

暑いついでに下準備もしてしまう。炊飯器にお米と買ってきた素を入れる。成亮なら自分で作るでしょうけど、素の方が美味しく作れる自信があるので仕方ない。玉ねぎのみじん切りなんて久しぶりだよ……と泣いた。冷やしておけばよかったけれどそんな時間もないしな。あとピーマンとパプリカ、鶏肉も小さくしておく。

熱したフライパンにオリーブオイルを引き、玉ねぎとおろしにんにく、トマト缶をいれ、軽く炒めると食欲のそそられるいい匂いがする。それを炊飯器の米に投入。あとは冷凍のシーフードミックスと鶏肉、あと成亮から頼まれたアサリを綺麗に乗せ、そのうえから野菜をどっさり。はい終わり。

手抜き？いやいや絶対に美味しいし、あの人に手の込んだものを出すなんて100年早いのは自分でもわかっている結果よ。

会社出る時に連絡してねと出かける時に釘を刺しておいたのできっと大丈夫。その連絡と同時に炊飯器のスイッチを押せばちょうどいいでしょう。

久しぶりの料理と彼からの連絡にそわそわするこの時間、同居する前に味わっていたアレと同じだ。家に成亮が来ることになって、手料理は何を振る舞ったらいいのか、部屋着は？メイクは？部屋の掃除は？と柄にもなく慌てふためいていた。しかしどれだけ気を遣っても気づいてるのか気づいてないのか何の反応もしない成亮にいつからか私も構えなくなり、気づいたらこの有様だ。

成亮ってもしかしてダメ女製造機の類いなのだろうか。

キッチンからつけっぱなしにしていたワイドショーを見る。この後ゲリラ豪雨の可能性があるとな。傘持っていったかなあと考えた後、今日は車出勤すると言っていたことを思い出した。

雨降るみたいだから気をつけてね、と連絡を入れようとスマホを確認すると、ちょうど帰りの連絡が入った。ナイスタイミングにも程がある。私のこと見えてるのかしら。了解のスタンプを返し、炊飯器のスイッチを押した。あとはサラダとスープを作ればいい。

適当にレタスをちぎりトマトを乗せてサラダは終わり。スープはコンソメでいいかなあ。何にも考えなくても作れる最高の2品。

さて、あとは本日の主役を待つのみ。