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｢傷、跡…？なんやそれ、何の跡なん？｣
｢手術の跡。あたしね、バスケしてたの。結構上手かったんだよ？…今の君みたいに痛いの隠して我慢して、んで…こうなっちゃった｣
へらっと笑いながら黄瀬くんを見れば、心配そうな目線をこちらに寄越す。さっきまで警戒心ばりばりだったのに今は心配してくれてる…優しい子なんだな。
｢やっぱ痛いん？｣
｢かなりねw今でもたまに思い出して痛くなった気がする時あるくらい。気の所為なんだけどね｣
｢手術大変だった？｣
｢そりゃもちろん。だからこれは、先輩のお節介で忠告…無理しないで｣
少し思い詰めたような顔が、数年前の自分と重なって見えた。あの時のあたしにもこうやって言ってくれる人がいれば。まだ今でもボールを追いかけてられたのかな、なんて。
｢…分かった。ちゃんと病院行くわ！俺まだ野球続けてたいしな｣
｢うんうん、そーしな？じゃあごめん、それだけだったんだ。ばいばい｣
｢え、あ…あの、ありがとう、ございました。…名前、聞いてもいいすか｣
｢あー…や、そんな名乗るほどの者じゃ…っが、頑張ってね！！！｣
｢あ、ちょ…！｣
名前を聞かれてなんだか恥ずかしくなってしまったあたしは踵を返して走り出した。追おうと思えばすぐに追いつけただろうけど黄瀬くんは追っては来なかった。正直ちょっとほっとした。元々関わる気なんてなかったしあたしは見るだけで十分。
｢おはよー…え？｣
｢こんな感じの人で…ってあー！！！あんた！！こないだの！！｣
｢ひぇっ…な、なんで…｣
｢ずっと探しててん！あんたのおかげで俺まだ野球続けられそうやわ、ほんまにありがとう｣
｢わ、わかった！分かったから！移動しよ？ね？｣
｢おん！ほなこっち来て！｣
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作者名：みひろ | 作成日時：2023年3月7日 10時
