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彼の世界 9 ページ9

『…佐野くん。』


「え?なに?」


『…玲於くん。』


「ふふ。…なーにー?」



玲於のジャケットの裾をギュッと掴む。


『…玲於。
…心細かった…』



私の言葉に、玲於は少しだけ体を離して

私をじっと見つめる。


「…お酒、飲んじゃったね、A。
まこっちゃんに任せて正解だったわ…。
…漏れちゃってるよ、色っぽいの…。」


私はばつが悪くて、首を振りながら俯いた。


「俺のいない時に男の居るトコで、絶対に
飲んだらダメだよ、いい?」


玲於の掌が私の頬に添えられて、顔を上げて

玲於を見るように促された。


『うん、…分かった。』


玲於はもうさっきまでの優しい顔じゃなくて、

ふたりきりの時の熱を持った目をしていて

思わず目だけを逸らしてしまう。


玲於の視線がチラッと一瞬、部屋の方を向く。



「…じゃあ、ちゅーで約束しようか?」


…へっ?


『…はっ?し、しない、しないよっ。
誰か来たら、…違う、そ、そんな事じゃない…』


突然の提案に目を見開いた。


「仕方ないよ、…約束するんだからね。」


『こんなトコでしな…っん!』



「A、誕生日、おめでと…」



囁きながら啄むように素早く触れた唇は、

その言葉を合図に深く重なった。



でも、…相変わらず強引な玲於に振り回されて

恥ずかしいのに嬉しいなんて。


与えられる全てを受け入れる私も、

…すっかりおかしくなってるのかもしれない。


.



すっかり息の上がった状態で

まだまだ賑わう宴の席に戻る。


…とは言っても、


玲於が腰に手を回したままの私は、

そのままGENERATIONSのテーブルに移動して

玲於と裕太さんの間に座らされた。



隼「カオルちゃん、今日はありがとう!
…ごめんね、愛さん、潰れちゃった。」


正面には隼くん。

いつの間にかその膝枕で愛ちゃんが眠ってる。


『本当だよ!愛ちゃんがハイになり始めた時、
私、隼くんにすごく合図したんだからね!』


隼「うん、ごめん!
…って、玲於…。
お前さぁ、マジで…何してきてんの…。」



隼くんは小さな声で玲於に伝えると、

照れたように私から目を逸らした。

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しをちゃ(プロフ) - まぁさんおはようございます!また読ませていただけるのかな?と思ってます! (2021年10月25日 4時) (レス) @page49 id: dc85e84606 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんお元気ですか??? (2018年12月5日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんこんにちわ!やっぱり何度読ませて頂いても泣ける。゚(゚´Д`゚)゚。本当に好きです! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - この終わり方私も好きです、ナケチャイマスケド(><)名古屋ドーム私も行きますよ!楽しみましょう!続き楽しみにしてます (2018年4月4日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - まなさん» こんにちは!"カオル"は主人公の芸名です。私としては、主人公は本名非公開で芸能活動してた設定でお話を進めています。なのでずっとカオル呼びの登場人物もいます。お返事がズレていたら、ごめんなさい。 (2018年4月3日 1時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まぁ | 作成日時:2018年1月11日 22時

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