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彼の世界 8 ページ8

部屋に戻るか、

外の空気を吸いに出るか…


お手洗いから出ると、周りから死角になった

壁にもたれてぼんやり考える。


頭は空っぽで意味無くスマホを弄ったりして。




「…ここでしたかぁ、…拗ね子ちゃん。」



隣に誰かが来た気配に目を向けると、

久しぶりに見る優しい顔で

玲於が、笑って私を見ていた。


…今日、やっと側に感じる、玲於。


ホッとして、気持ちのまま近付こうとすると、

意思とは反対に自分の体がピンと強張った。


…ん?

…いや、……今、スネコって言われた?



冷静になり始めた頭がフル回転する。


考え始めると色んな事が混ざり出す。

お酒の勢いもあってモヤモヤは増すばかり。


人の気も知らないで馬鹿にして…。



『…拗ねてなんかないです。
ライブお疲れ様。とっても凄かった。
楽しかった。ありがとうございました。』


面白くない気持ちで玲於に背中を向けた。



「…ぶはっ!はははっ。
ちょ、Aお前、マジで拗ねてんじゃん!」



背中越しに玲於の大笑いが聞こえて

さすがにイラッとした。



『うるさいなぁ!』


顔だけ向けてキッと玲於を睨み付ける…けど、

玲於は涼しい目をして口元を緩ませてる。



どうしてこんな日に私がこんなにも

イライラさせられなきゃいけないの?


もう、怒ってるのか悲しいのか分からない。


玲於を殴ってやろうと振り向いた、



…瞬間。



私の視界には、

玲於のピアスが映り込んだ。



『…あっ…』

「……俺の勝ち。」



…まるで私がそうすると分かってたみたいに

玲於は無防備になった私の体を、

ギュッと強く抱き寄せた。



「…A、そんな怒んないで、ね。
まぁ、待ちくたびれたよな。…ごめん。
…でも、俺、嬉しい。
…来てくれてありがと。ライブも、…今も。
…会って欲しかったからさ、俺の、仲間に。
それに、絶対会わなきゃ…ダメな日でしょ?」



…ズルい。


玲於はゆっくり言葉を選びながら囁いた。


耳元で嬉しそうにそんな事言われたら、

…私だって。…嬉しい。

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しをちゃ(プロフ) - まぁさんおはようございます!また読ませていただけるのかな?と思ってます! (2021年10月25日 4時) (レス) @page49 id: dc85e84606 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんお元気ですか??? (2018年12月5日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんこんにちわ!やっぱり何度読ませて頂いても泣ける。゚(゚´Д`゚)゚。本当に好きです! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - この終わり方私も好きです、ナケチャイマスケド(><)名古屋ドーム私も行きますよ!楽しみましょう!続き楽しみにしてます (2018年4月4日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - まなさん» こんにちは!"カオル"は主人公の芸名です。私としては、主人公は本名非公開で芸能活動してた設定でお話を進めています。なのでずっとカオル呼びの登場人物もいます。お返事がズレていたら、ごめんなさい。 (2018年4月3日 1時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まぁ | 作成日時:2018年1月11日 22時

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