きっかけ 10 ページ20
"よし!"なんて言うと
ポイッとキャップも外して
私の眼鏡も彼のポケットに押し込んだ。
…これでどう見てもわたしたちだと分かる。
「リアリティーショー、だね。」
15歳以来、外でデートした事のないふたりが
まるで普通の恋人達のように振る舞った。
玲於は唇以外にもキスしたり、抱き締めたり…
私の耳のピアスにも、そっとキスする。
「…このピアス…まだ持ってたんだ。
バカだね、…こんなの、すっごい安物なのに…」
『…私には大切なものなの、バカにしないで。』
私は痛くない程度に玲於の頬をつねった。
「あ〜、ダメだ。お前、ダメだ。好きだわ…」
玲於はおでこをくっつけて小さく呟くと
私の事を優しく抱き上げて嬉しそうに笑った。
店内の人は、すっかりゲリラ撮影だと
信じてくれたみたいで、溜め息を漏らしながら
時折拍手までして見守ってくれている。
…最後に、
玲於は手品のように器用に指を動かして
私の薬指に新しい指輪を通した。
「…はい、プレゼント。」
『これ…』
「…このジュエリーは、同じラインだから。
今年はプラチナでしょ。…ほら、重ねといて。」
そして、同じ指にさっき外した指輪を通した。
「似合う。」
『……ありがとう。』
外された指輪の真意を知って
じんわり幸せな気持ちに包まれていると、
玲於は私の髪を指にくるくる巻き付け始めた。
そして、クン、と引っ張る。
『っん!痛っ!』
「…ね、…俺じゃなくていいの?」
見上げると、子供みたいに拗ねた顔。
…でも、瞳はさっきまでの優しい色のまま。
『…分かってるクセに。』
「分かんない、そんなの。言わないと。」
口を尖らせて何度も髪を引っ張るから、
タイミングを合わせて玲於に体を寄せた。
彼の胸に置いた掌から、ドキン、ドキン…
早く熱く、鼓動が脈打つのを感じる。
…まだ私にドキドキしてくれてる?
私は両腕を玲於の首に回して抱きついた。
『…好きだよ、玲於だけ。どうしようもなく。』
玲於の腕が優しく私の背中に回った時、
…フィルムの巻き上がる音がした。
_奈々さんは、もう何も言わなかった。
最後までシャッターを切り続けてくれた。
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しをちゃ(プロフ) - まぁさんおはようございます!また読ませていただけるのかな?と思ってます! (2021年10月25日 4時) (レス) @page49 id: dc85e84606 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんお元気ですか??? (2018年12月5日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんこんにちわ!やっぱり何度読ませて頂いても泣ける。゚(゚´Д`゚)゚。本当に好きです! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - この終わり方私も好きです、ナケチャイマスケド(><)名古屋ドーム私も行きますよ!楽しみましょう!続き楽しみにしてます (2018年4月4日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - まなさん» こんにちは!"カオル"は主人公の芸名です。私としては、主人公は本名非公開で芸能活動してた設定でお話を進めています。なのでずっとカオル呼びの登場人物もいます。お返事がズレていたら、ごめんなさい。 (2018年4月3日 1時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぁ | 作成日時:2018年1月11日 22時