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彼のために 5 ページ25

隼「…ん?……どっちか
電話ブーブー言ってるよ。」


あーでもない、こーでもない、とほろ酔いの

二人はスマホのバイブも分からんらしい。


「あ、おれ〜。」


玲於はその辺に脱ぎ捨てた革ジャンから

スマホを引っ張り出す。


「……あ、ケンゴさんだ…。」


隼「あぁ、あのデザイナーさん?」


「…うん。」


分かりやすいくらい玲於の表情が曇った。


"ケンゴさん" は玲於には救世主とも言える、

モデル起用を決めてくれたメーカーに務める

メインのデザイナーさんだ。



隼「どした?…出ないの?」


「…明日、昼間にかけ直す。
まぁ、ややこしいんだわ…。」



スマホを伏せると、ほどなくして止んだ。


玲於は頭をくしゃくしゃといじりながら

酒の勢いなのか、いつもは秘密主義なのに

吐き捨てるように呟いた。



「…なんかさぁ、もう言っちゃうけど、
Aに会わせてってうるさいんだよね。
…知り合いがあいつの事好きなんだって!」



僕と愛さんは顔を見合わせる。


隼「えっ?えっ?あの写真が出来たワケ、
知らないの?!」


愛『や、元の写真、本当は撮影じゃないって
普通に見たら分かるし、急に持ち込まれた事を
考えたら、二人の関係は分かりそうじゃん…』



「…ね。」


隼「…ね、って玲於…。」



僕らを居心地の悪い空気が取り巻く…。



愛『…玲於。』


愛さんは急に、玲於に真剣に向き合った。


「…え、なに…」


背筋を伸ばす玲於に釣られて、

僕まで思わず正座した。



愛『…Aの夢って、聞いたこと、ある?』


隼「Aちゃんの夢…」



「…中学の時、スーパーモデル?って聞いた事
あるけど、違うの…?」



おい、玲於…いつ情報だよ、それ…。



愛『…それじゃない事だけは言っとく。
…教えないかもしれないけど、
真剣に話した方がいい。出来るだけ早く。
あの子、いつもあんたの事になると、
判断を間違う女だから…』


隼「愛さん、余計に気になるよ!
知ってるなら教え…なくていいよ…」


ギラッと一睨みされて、僕は口をつぐむ。


玲於の目は不安に揺れてるのが分かった。


だけど、愛さんの言葉に少なからず

思い当たるふしが有るのかもしれない。



「…分かった…」



静かに一言そう呟くと、

僕から間借り中の衣装部屋へ…消えた。

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しをちゃ(プロフ) - まぁさんおはようございます!また読ませていただけるのかな?と思ってます! (2021年10月25日 4時) (レス) @page49 id: dc85e84606 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんお元気ですか??? (2018年12月5日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんこんにちわ!やっぱり何度読ませて頂いても泣ける。゚(゚´Д`゚)゚。本当に好きです! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - この終わり方私も好きです、ナケチャイマスケド(><)名古屋ドーム私も行きますよ!楽しみましょう!続き楽しみにしてます (2018年4月4日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - まなさん» こんにちは!"カオル"は主人公の芸名です。私としては、主人公は本名非公開で芸能活動してた設定でお話を進めています。なのでずっとカオル呼びの登場人物もいます。お返事がズレていたら、ごめんなさい。 (2018年4月3日 1時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まぁ | 作成日時:2018年1月11日 22時

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