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「杏里ちゃんがいなくなった？！」
「はい！ 今ほかの科にも頼んで探してるところです！」
「わかった！ 私も探してみる」
「お願いします！」
パソコン作業をしていると仕事用の携帯が鳴り、出ると石原さんから杏里ちゃんがいなくなったという連絡を受けた。急いで医局を飛び出し、空き部屋を中心に手当たり次第に探し回る。主治医の浬からは退院日が延期になったという話を聞いていた。忙しくて今日は顔を見れなかったけれど、今となっては、それが大いに悔やまれる。
「杏里ちゃ〜ん！」
息を切らし、トイレの個室や備品倉庫なども隅々チェックをしていく。何度か他の職員にも出会ったけれど、まだ見つかったという報告は受けていない。「もし杏里ちゃんに何かあったら」、そう思うと焦りはますます加速した。
ピリリリリリ
静かな廊下に突然携帯の音が鳴り響き、体がビクリと震える。慌てて通話ボタンを押すと、「先生、どこにいますか？！」という切羽詰まった声が聞こえてきた。
「3階の廊下。今から上に上がるところ」
「5階の外！！ 杏里ちゃん、危なくて！」
「わかった！ 急ぐわ！」
短い単語から連想される事態を察知して、携帯を切って急いで階段を駆け上がる。「お願い、間に合って」と、そう強く願いながら震える足を叱咤した。
「杏里ちゃん！！」
ようやくたどり着いた5階の奥にあるドアを開けると、そこには泣き崩れる杏里ちゃんと、杏里ちゃんの肩を抱く佐倉さん、その側に座り込む浬がいた。どうやら最悪の事態はまぬがれたようだ。杏里ちゃんが無事だったことに安堵した私は、近くの壁に寄りかかって「……よかった」と大きく息を吐いた。
そのあと、すぐに沙世子先生たちが毛布と車椅子を持って来て杏里ちゃんを連れていき、その場には浬と佐倉さん、私の3人だけとなる。「もう、だめかと思った……」と、そう言って浬に礼をいう佐倉さん。律儀に何も役に立たなかった私にまで「神谷先生も、走って来てくださってありがとうございました」とホッとした笑顔を見せてくれた。そんなとき、また私の携帯が鳴ったので2人に「ごめんね」と断りを入れて、その場を後にする。
電話の相手は晃一だった。
「杏里ちゃん、見つかったんだって？」
「うん。佐倉さんが見つけてくれたみたい。無事でよかったよ」
その後、晃一と話しながら医局に戻ると小石川先生に帰宅を促された。浬と話したかったけど、荷物が届く予定だった私は一足先に自宅へ帰ることにした。
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moeka(プロフ) - 更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2021年1月1日 8時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
HIKARU(プロフ) - 天堂先生の漢字間違ってます (2020年4月28日 14時) (レス) id: eab8b332b2 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございました。初めての投稿で、きちんと規約を確認せずに作品を作ってしまったことを反省しております。ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。 (2020年4月23日 18時) (レス) id: d41278724c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪菜 | 作成日時：2020年4月17日 16時
