人の不幸は蜜の味 (ページ6)

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「なんで、、おれも好きだよ！有岡くんのこと好き、おれが言えなかったから、勇気がなかったから言えなかっただけで、っ、」

勝手に頬を伝った涙を、有岡くんが震える指で拭った。

「ばいばい、」

そう言いながら優しく微笑んで、今度こそドアを開けた。

「いや、いやだっ、有岡く、」

手を伸ばすけど、かわされる。

慌てて立ち上がると、もうドアが閉まりかけてる。

「有岡くん！」

ドアを開けると、家の前に止められていた車に乗っているところだった。

「じゃあね。」

なんで笑うの？

なんでそんなに笑えるの？

あんなに泣いてたのは、全部演技？

新しいコイビトのところに行くための演技？

それとも、……

車が発車して、追いかける気にもなれないおれは、車を目で追いかけながら、ただひたすら泣いていた。