#3 ページ14
「大ちゃん、最近好きな人とはどう?」
ふいに、山田がそう口を開いた。
「んー、まあまあかな。話はしてるけどね。」
「そっか。…ほんっと誰かわかんないなー!」
「ぜったい教えないから。教えたら山田耐えらんないと思うから。」
「え、…やっぱいのちゃん?」
「んなわけないでしょ!そんな不安そうな顔しないで、おれは女の子だって言ってるでしょ?」
「だよね、そうだよね、」
安心そうな顔するから、それもおれにとっては苦しい。
バシッ!
「いっ、た、なにすんだよ!」
「ん?喝入れたんだよ。大ちゃんの恋がうまくいきますようにーって。」
ニコッと嬉しそうに笑った君。
人の気も知らないで、いつもそうやって笑って応援してくれる。
自分のことだとは思いもせずに。
「ふふっ、ありがと、」
やっぱ憎めないや。好きだよ。
***
「じゃあね、ばいばい!」
「ばいばい、」
嬉しそうに手を振ってるのは、いのちゃんと今日話せたから?
そう思うと、やっぱりいのちゃんが羨ましくなる。
“いつか手を繋いでおれの隣を歩いて”
なんて。
そんな事言えるわけないけどさ。
この関係が崩れるなら、気まずくなるなら、友達でいい。
それでいいけど。
誰かのものになんてならないでほしいなんて、わがままかな、
「…はぁ。
おれもばかだなぁ。」
諦められない。
“好き”って心が消えない。
おれ、山田の前で上手く笑えてるかな。
もし笑えてたら、いつかなれるかな。
いのちゃんより、山田を夢中にさせる好きなひとに。
無茶なことだけど、気づいてよ。
おれの好きなひと。
【-end-】
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←#2
27人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:香音 | 作成日時:2018年10月20日 14時