#2 ページ13
「いのちゃんは?」
「勉強して帰るって。」
「あーそっか。」
いのちゃん頭いいもんな。
「…あ、あの映画見た?この前言ってたやつ。」
「好きって言ってたやつでしょ?見たよ!めっちゃ好き!!」
「だろ?大ちゃんならわかってくれると思ってたんだよなぁ。」
「ついでに主題歌もかっこよかったから返すついでにCD借りちゃったよ。」
「分かる!おれも同じことした!」
「まじか!あれいい歌だよなぁ。」
「今度カラオケ言ったら一緒に歌お。」
「もちろん!」
山田の好きな映画、好きな歌、
全部全部好きになってるのに、山田に染まっていくのに、
心に穴が開いたように1つ、たった1つ、
どうしても好きになれない、
君の好きなひと。
でもそれは、映画や歌と同じくらいキラキラ輝いてる。
それに気づいたら、やっぱり敵わないって思う。
ダメかなって諦めたくなる。
ずるいよ、いのちゃん。
ほんとの山田はあんなに口下手じゃなくて、ここで話してるみたいにこんなにも生き生きと楽しそうに話すんだよ。
本当の姿より、おれはそっちのほうが羨ましかったりするんだ。
どうしてかわかる?
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作者名:香音 | 作成日時:2018年10月20日 14時