忠誠:10 ページ10
ギラつく青色に睨まれながら、アルジュナは弓をつがえる。その殺気、その怒りはアルジュナを怯ませはしないが、無視することもまたできないだけの気迫はあった
「剣でも弓でも、槍でも…何を使っても、どう使っても……生き残ること以上に大事なことなんてないのよ＿＿＿ねえ？ “ヘクトール”‼︎」
ア「！＿＿くっ⁉︎」
アルジュナは空を見上げた。しかし、そこには既に空を覆うほど近く、一人の男がいた
金属のぶつかる音がして、両者の動きが膠着する
風「ヘクトール殿！」
ア「ヘクトール…なるほど、どうりで手強いはずだ」
弾かれたようにこちらへ飛んで戻ったヘクトール。その装いの左腹部が赤黒く染まっている
へ「悪いねマスター、遅くなっちまって…」
「…生きて戻ってきたなら、文句無いわよ」
4対1…数の上では圧倒的有利だが、接近戦に持ち込めるヘクトールは重傷。それに…
(ヘクトールがここまで後退したってことは…すぐにクー・フーリンとメイヴが来る…)
アルジュナは速攻で屠れる相手ではない…かと言って逃げつつ奴等から生き残るは至難の業だ
(私は……引き際を間違えたのだろうか)
拳を握る……残る手は、一つ
まだそのつもりはなかったけど…
拳を握り直し胸の前に置いた
＿＿その時、アルジュナの放った矢を防ぐ影があった
？「＿＿ぬるいぬるい。 よく鍛えてはいるが心気がこもっておらぬ。これでは小僧の棒投げよな」
紫の髪を靡かせる、女の…
「…サーヴァント」
しかも、その手に握られた槍は まさか
？「通りすがりの神殺しとだけ覚えておけ」
何者かと問うアルジュナの問いに、彼女は答える気を見せない
？「その小娘は生かして返す。私がそう決めたのだ＿退くがいい、たかだか神に愛されただけの若造よ」
彼女の言葉に応じる気のないアルジュナが戦意を見せる…が
ク「＿＿いや、下がってなアルジュナ。テメエでもその女は手に余る」
ロ「げ…」
風「クー・フーリン…！」
クー・フーリンの知己……会話の内容と彼女の手にある槍から察するに、彼女は…
(まさかとは思うけど…クー・フーリンの師匠であった、影の国の女王…？)
凄いサーヴァントが出て来たな、と飄々会話しながら私達を逃そうと交渉している女性の背を見つめる
勝手に動くこともできず、成り行きを見守る
ク「おっ始めたら真っ先にメイヴをやるだろうが、アンタは」
？「当然だ。何しろ気に食わぬ女ゆえ、生涯最高の一刺しが炸裂するぞ」
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作者名：アクエリアス | 作成日時：2023年11月14日 12時
