忠誠:4 ページ4
どこに行けばいいのか分からなくても、傍にいてくれる事がただ幸福だった
「なんでもない小さな幸せに触れて、それがかけがえのないものだと知った…どこか真っ当な人みたいな十年を過ごしたわ」
モ「お前さんにとって、アイツはなんだ」
「……英雄よ」
あの炎から、私を逃がした
あの夜、私の手を取ってくれた
壊れたら、殺してくれると言ってくれた
「私の、たった一人の英雄」
笑われるだろうか。歪んでいると
モ「なるほどな…」
「…笑っていいよ?」
モ「笑うかよ…お前さんは戦ったんだ。逃げても、見ないフリをしても誰も咎めなかったろうに…それでも剣を取り、戦い、生き残った。その叛逆を、笑うものか__それを笑う奴がいたら、このオレが首を刎ねてやる」
「叛逆…」
嗚呼、そうだ。叛逆だ
モ「そうとも。力に、理不尽に叛逆する…決して楽な道じゃなかったはずだ。あのナヨっと義賊が入れ込むわけだな………オレも人のことは言えねえか」
どうりで、このオレのマスターになれるわけだ
モ「マスター。手を」
オレが差し出した手に、マスターは令呪を晒した手を伸ばし指先を乗せる
それを合図に、オレはマスターの前で膝を折った
「モ、モードレッド…?どうしたの?」
認めてやるよ。
そして、オレが必ず…どんな戦場にあっても、お前を勝たせてやる……マスター
その紅い印に、唇を寄せた
モ「_オレの剣を預け、名誉を預け、命を捧げる」
オレにできることは、そんくらいだ
モ「騎士としては三流かもしれねぇが……それでもいいか?」
マスターが息を呑むのが分かった。顔を上げて窺うと、マスターはオレに見惚れてやがる…いい気分だ
「そ、れは」
モ「オレはお前の剣だ。今、お前さんにそう誓った」
「…モードレッド」
モ「だから、オレのことは側に置いとけ。明日の事じゃねえぞ?……いつか、お前が死地に立つ時だ。何人かに後を託してるらしいじゃねえか」
「…ああ、うん…ランサーとかの話?」
モ「オレはそれやらねえからな」
「ええ…」
モ「なんだ、不満か?」
「言ってることが無茶苦茶よ……でも…分かった。あなたには頼まない…あなたは最後まで、私のセイバーでいてくれるってことだよね?」
困った顔をしたが、神楽坂はすぐに納得して、飲み込んで、笑った
あゝ、そうとも。
モ「いいか、マスター。このオレは神楽坂Aって女のための騎士だ……オレのいない所で、おっ死ぬんじゃねえぞ」
「うん…約束する」
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作者名:アクエリアス | 作成日時:2023年11月14日 12時