忠誠:2 ページ2
不安だ。今このマスターの側には彼女のロビンフッドはいないのだ
いざという時、この見かけによらず頑固な女を折れさせられる奴がいない。今からでもせめてエミヤの奴を呼んで欲しいとさえ思う
ロビンフッドがおらず不安定なマスターが崩れた一瞬を、モードレッドは見ている。先程仕掛けてきたディルムッドもそうだが、敵にはこのマスターが信頼を置くクー・フーリンもいて、奴は首都陣営がぶち当たる可能性が極めて高い。というか絶対にいる
目の届かないところでそんな危険な場所に、この精神的支柱のいない主人を行かせていいものか。答えは否だ
自分の頭の中で母親見てえな二人の弓兵が深く頷いてやがる
もしほんの一瞬、彼女の意識が綻びたら…それは死に直結するだろう。そういう戦場になると、直感している…というのに…このマスターときたら
モ(ぜってえ折れない奴のツラしやがって…!)
「立香はどう思う?」
人の考えを他所に決定を促しやがる
立「…それでいこう」
モ「おい!」
立「信じてるからね、かぐちゃん」
「ええ。分かってる」
頷いたマスターの目がオレを向く…こんの…
モ「チッ………おい小太郎!ぜってぇこのバカマスターから目を離すなよ!」
風「無論です」
話がまとまり、明日の朝…二つに部隊を分け各々すべき事を全うする為に動く
立「…気を付けてね」
「心配しないで。立香も怪我しないように…まあ、そっちには天使がいるから大丈夫よね」
立香とマシュが眠りについた後、神楽坂は焚き火を見つめぼーっとしていた
ジェ「君も早く休んでおけ」
「ええ…」
モ「マスター。少しいいか?」
静かな声に振り返る。神楽坂は頷いて、立ち上がった
無言で拠点を離れるモードレッドに着いて、神楽坂は荒野の入り口までやってきた
「どうしたの?」
モ「悪いな、こんな時に……なあマスター、聞きたいことが、あんだけどよ」
背を向けていたモードレッドがこちらを振り返った
モ「お前さんは、どこかの聖杯戦争でアーサー王に会ったことがあるんだろ」
「…あるよ」
モ「なぁマスター…オレは、アーサー王を…父を超える騎士になると思うか?」
風が木々を揺らし、静かな夜の音を立てる。モードレッドの束ねた金の髪を揺らし……淡い灯りの星空の下で、湖の色の瞳も…揺れているようだった
「……私は、確かにセイバーに会ったことがあるけれど、まともに言葉を交わしたわけでもなければ、騎士というものにそこまで詳しくは無いわ」
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作者名:アクエリアス | 作成日時:2023年11月14日 12時