暗雲:16 ページ31
「こんにちは…特異点以来ですね、神楽坂」
「貴女が立香の味方でいてくれると思うと、とても心強いわ…お話中にごめんなさい、ジャンヌを連れて行っても？」
聖女をジャンヌ・ダルクと、そして私をジャンヌと呼んで私を連れて行っても良いか伺う。私をジャンヌと呼ぶことに、アイツもどこか驚いているようだった
「え、ええ。もちろん」
「ありがとう。話があるの、付き合って？ジャンヌ」
「…あんた」
「うん？」
「……なんでもないわ。早く行きましょう」
来た方へ踵を返った。私の声に振り返る神楽坂の脇を押して聖女サマから離れる
「ジャンヌ・ダルクと何を話してたの？」
「別になにも。挨拶してただけよ…それより何のつもりですか」
「なにが？」
なにが？じゃないわよ…そう思ってジト目を向けてやると、神楽坂はキョトンとしていた目を細めて妖艶に笑う
「…だって“ジャンヌ”は、私のジャンヌでしょ」
胸元が大きな音を立てる
「っ……なによそれ」
「私のために、戦ってくれるんでしょう？」
前屈みにこちらを覗き込み、首を傾げる。その口元にたたえられた笑みが憎らしくて、けれど抗い難いほどに胸を打つ
「…もしかして、嫌？」
「べっ…つに……呼び方なんて、何だって構いません。貴女が私を呼んでいるということが分かればそれ以上に何が必要だというのです」
満足そうに口角を上げてもう一度私をジャンヌと呼ぶ。調子が狂うわね…
「そんな事より、どうしてそんな顔をしていられるのです？大事なだいじな弓兵は床に伏せているのでしょう？…側にいなくて良いのですか」
「…寝たきりになってるくらいでレイシフトをすっぽかしたら、起きた時が怖いわ」
困ったような顔をして、笑みは崩さず強がりを言う
「あっそう。なんでも良いけど…それで？強がりな私のマスターは、結局私に何の用があるのかしら？」
「…次の特異点の事でね」
すっと歩き出す神楽坂に続く…彼女の纏う雰囲気や、圧…向かう先から、要件に検討がついた
「…まさか」
「待たせてごめんね」
立ち止まって振り返った彼女の声は弾んでいたが、私の目に留まった時…その表情に喜楽はなく、大海の瞳には静かな怒りが渦巻いていた
全てを燃やし尽くす業火ではない…小さく静かに、けれど何よりも高い温度で燃える……青い炎のようだった
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アクエリアス(プロフ) - あきさん» あきさんコメントありがとうございます^ ^更新久々になってしまって申し訳ないです…またぼちぼち頑張っていくので、楽しんでいただけたら幸いです！ (5月9日 8時) (
レス) id: 865042e502 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 続編おめでとうございます。楽しみにしていたのでお知らせが来た時めちゃくちゃ嬉しかったです。応援しています、更新頑張ってください。 (5月9日 0時) (レス) @page2 id: e5aed7d47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アクエリアス | 作成日時：2023年5月8日 23時
