Fate /GreenBloody III

深淵:12 ページ16

結末は変わらない、そう言って勝ち誇った様な笑みを浮かべる


「……そうかもしれない」


「へぇ…じゃあ決めたの？どうするか」


「最後まで、私は復讐者(わたし)だよ」


「最後まで、ね……じゃあその後は全部消してしまおう？足りないでしょう？苦しいでしょう？
楽 に な り た い で し ょ う ？」


狂気を孕んだ瞳が私を見つめる…青くて深い…同じ目をして


「…それも良いかもね」


「………なにそれ」


初めて"私"の顔が歪んだ…不快そうに、否定的に、わたしを見て吐き捨てる


「止めてくれるって、約束してくれた」


「信じるの？」


「信じるよ…当たり前でしょ」


「如何して？」


「如何して？…愚問だね。アンタも私なら分かるでしょ？」


彼は先を行く人、過去を生きた人、私では届かない人、決して隣に立てない人

私を助けてくれた人、私を見つけてくれた人、手を伸ばしてくれた…たった一人






彼奴になら見捨てられたって、裏切られたって構わない。それでも信じたいし、約束してくれた…その事実があれば良い





「私が"私の英雄"を信じることに、なにか理由が必要？」



ーーー



「……ん…」


ロ「おはようございます」


「…おはよう」


再び目を覚ますと、今度こそ朝で…既に起きていたロビンと目が合う
髪を梳くように頭を撫でられ、挨拶を交わす


ロ「目元凄ぇですよ」


「知ってる…すごい、腫れぼったい」


ロ「冷やしてやれば良かったですね」


髪を撫でていた手を滑らせ、親指で瞼に触れてくる…優しい手


ロ「ちゃんと眠れました？」


「おかげさまで」


1人起き上がって、私を振り返る


ロ「朝ご飯、何食べたいです？」


「君に任せる…でもあったかいのがあると嬉しい」


ロ「あいよ」


先に降りていったロビンを追うように起き上がり、階段を下る

……きっともうすぐ、聖杯戦争が終わる。時間はもう少ない
最後の1人は…必ず動く


ロ「飲み物は？」


「…紅茶」


衛宮と遠坂は…セイバーは取り戻せたかな…あの赤い弓兵は…


ロ「おやぁ浮気の匂いがしますねぇ」


「え、」


ロ「今、別の奴(サーヴァント)の事考えてたろ？」


目の前に置かれる皿に目を向けながら、観念して言葉にする事にした


「……あの、赤いアーチャー」


ロ「そんなに気になります？アイツの事」


「彼だけは…真名が分からなかった」


過去の英雄の1人…何処か異質で、初めて見た夜からずっと気になっていた


「彼は…何処の英霊だったんだろう」

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