TouchⅢ- 2【mmnb】 (ページ26)

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「駅から近いって聞いてたけど....この辺？」

n 「んー、もうすぐ着くはず」

駅の改札を出て少し歩いたあたり

高いビルが映る景色を眺めながら聞くと
翔太くんも同じように周りを見回した

「どんなとこか分からないから緊張するね」

n 「今日は白杖選ぶだけでしょ？」

「そうみたい、俺の白杖第1号だね〜」

n 「....第何号まで覚えられるか楽しみだな」

そう、

今日は阿部ちゃんに予約を取ってもらって

白杖の販売や歩行訓練をしてる施設に向かってる

見えないことを隠すのはもうやめようと思って、
翔太くんに伝えたあの日から色々考えた。

今までは “ 見えない自分 ” を偽って “ 見える自分 ” を演じてきたけど、結局それで得をしたことはない

それどころか隠さなきゃいけないようなことなんだと感じて、虚しさとか苦しさとか、

そんなモノと一人で葛藤したことだって数え切れない

ここまで見えなくなってしまったけど、俺がしなきゃいけないことは自分を偽って格好よくあろうとすることなんかじゃなくて、大切な人を守ること。

だからあの日、自分の意思で決めた

自分を偽ったままで大切な人は守れないから

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