･ ページ34
.
f 「ちょっとだけ眼振がね、すぐ治まると思うから座って待ってな？」
「.......ん、」
目黒の顔側に丸椅子を置いて腰を掛ける
顔を覗くと、目を閉じた瞼と長いキレイなまつ毛が少し揺れているのが分かって息を飲んだ
それから5分くらいで瞼はゆっくり開いて、
少しだけ揺れる瞳で俺を捉えた
m「.......ごめんね、翔太くんを悲しませるつもりはなかったんだけど、」
「.............」
m「なにが嫌だったか、教えてくれない？」
ゆっくりと身体を起こした目黒が
またその大きな瞳で俺のことを捉えながら問いかける
何も言えなくて黙っていると、扉を叩く音と聞き馴染みのある先生の声が聞こえてきて、
余計に何を話したらいいのか分からなくなっていく
「.......おれは」
m「うん、」
「.............」
m「俺が見に行くの、嫌だった？」
「っ、....そうじゃなくて、」
そうじゃなくて、
「もう、俺のせいで.............」
「目黒が傷付くのは、イヤなんだよ」
そう言葉にしたらまた “ あの ” 感覚が襲ってきて
思わず目黒の手を取って自分の心臓にあてた
m「しょうたくん、」
「目黒になんかあったらって、そう考えたらココが....締め付けられる」
m「俺が一人で大学まで来るのが、不安だったの？」
そんなことで、と嫌われるかもしれない
でも俺にはその場で頷くことしか出来なかった
m「翔太くん、顔上げて？」
「.......ん、」
m「俺、今日大学まで来るのにこれ使ったんだ」
顔を上げると目黒は枕元に置いてあった鞄の中から見覚えのある物を取り出した
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 725人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まる | 作成日時：2022年12月3日 22時
