ユメセカイ【江口拓也】

いた ページ12

あぁ、思い出した


「A、いるんでしょ、ずぅっと

俺のこと待っててくれたんだね、ねぇ、何を探してほしいの？言ってくれきゃわかんないよ」


『指輪』


後ろから声が聞こえた



「そっか

指につけてなかったの？」

『落としちゃったの

無くしちゃいけないってわかってたんだけど』


「この、家の中？」

『多分そう』

「一緒に探そう」

『うん』



彼女の姿は見えないけど確実にいる


俺のそばに


瓦礫だらけで家の形をなんとか保っている建物にそっと入る


「玄関に落とした？」

『多分リビング』

「わかった

ただいま〜」

『おかえり〜』


いつものような会話


黒焦げでボロボロの家の中は不思議とキレイだった


「ソファの上かな？」


『そーかも』

「いつも入れてたリングケースは？」

『テーブルの上においてる』

「じゃあそこかもね」

『うん』


ゆっくりゆっくりと暗い建物内を歩く

あぁ


なんで忘れてたんだろ


『あった！』

後ろの方で

チャリン


と音がなった


見つけたみたい


「よかった、見つけられたんだ」


思わず後ろを見た


『うん、これが欲しかったの、

拓也くんに貰ったやつだったから』


胸の前でギュッと力強く拳を握りしめる

顔の半分が火傷に覆われてる

彼女

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