71杯(江口side) ページ26
「主役が配信ほっといてソファでボケッとするとは」
『拓也さん〜』
ふにゃっと笑うA
「カシオレ怒ってる??」
『ぜんぜんw』
「何してるの?」
俺がそう問うと
考えるように俺に向けてた目を伏せた
『人の縁って大事だなって、みんなとこうしてお酒飲んで思ったんです』
「うん」
返事をするとパッと伏せてた目をこっちに向けて
隣をポンポンと叩くA
「座っていいの?」
『どうぞ!』
言葉に甘えて座る
ベッドルームの方を見るとみんな楽しそうに雑談をしてたからしばらくは大丈夫そうだ
『私が晋太郎さんと出会わなかったら拓也さんと話すことなんてなかったじゃないですか
この界隈からいなくなってたかもしれないし
リスナーさんのみんなが私を見つけてくれなかったら私は今日の大舞台に立てなかった
両親が亡くなって、おばぁちゃんも亡くなって。さみしくてタヒぬ事も考えた。けど天ちゃんが助けてくれた』
明るいAからは想像のつかない人生を歩んでいる
「そうだね」
『店長は父の親友で
おばぁちゃんが亡くなったあとにいろんな手続きとか、手配してくれたのも店長、東京に出たいって相談したときにマンション見つけたのも、カフェで雇ってくれたのも店長。
歌い手が軌道に乗ってからはみんなに支えてもらって、イベントに呼んでもらって、晋太郎さんと出会ってからは、いろんな声優さんと仲良くしていただいて、私は人に恵まれてる、運がいいんだ』
「うん、それもあると思うけど、運だけじゃないよ?
Aのその優しい人柄が人を引き寄せて、Aの周りに人が集まるんだよ」
『そうなのか』
「そうだよ、少なくとも俺はそうだとも思う」
そういうと嬉しそうに照れたように笑うA
『恋かぁ』
その言葉を聞いてドキッとした
「か、、彼氏欲しいの?」
『うん、家族がほしい』
家族を失うには早すぎた
「いいなって思う人いる?」
そう、言葉にしようとした
「アイリスー
リスナーさんが呼んでるでー!あともう20分近く経ってる!」
と坂田くんの声で口に出すことはなかった
『ごめん!眠くなってボーッとしてた!』
行きましょ?と首を傾げて俺を見るA
「うん」
『話聞いてくれてありがとうございます!
スッキリしました』
「いいえ〜
ほら、早く行っておいで」
『はい!』
ベッドルームに歩いていくA
熱を持つ頬、ドキドキと早鐘を打つ心臓
自分の気持ちに気づいてしまった
好きになったのかもしれない
Aのこと
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十六夜咲夜(プロフ) - ひまわり出身の木村さんは昴じゃなくて良平だったような… (2021年12月19日 13時) (レス) @page36 id: 6d8ea49086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暇なおんなのこ | 作成日時:2020年3月15日 10時