120話 これが正解? ページ31
「__これが、正解、か。」
いつもより一層顔色の悪いスーツの男は、自分に言い聞かせるような形で呟く。
きれいに磨かれた大理石の床が、今日は圧迫感を感じる。
「__終わったよ。」
かけられた声に顔を上げると、最近は見慣れた上司がこちらに向かってくる。
「ありがとうございます。」
「あの子のためとは思っても……、中々いい気にはなれないね。」
普段優しそうな顔の上司が、眉を下げる。
「これから、どうなるですか。」
不安げにスーツの男は聞いた。
「__あの子に関わったすべての記憶を消すことになる。審神者、刀剣男士、本丸、時間遡行軍、全てをね。」
神妙な顔つきで物悲しそうに上司は言う。
「……。」
「酷なことに聞こえるかもしれないけどね、人間は忘れることよりも、覚えてるほうが苦しいと思うよ。」
「ですね」と、うなづいた僕は、そのときどんな顔をしていたかは分からないが、心のもの悲しさを隠せたとは思ってはいない。
ふと眼下に望む街並みを見下ろす。
「ただ、……彼女が壊れそうで怖いんです。」
上司が何とも言えない顔つきで同じく街を見下ろす。
「こんな広い世界で、あの子が何年もしてやっと見つけた場所を、僕は奪った。
記憶が消えて、あの子が一般人に戻っても、それは見つからないのかもしれない。」
泣きそうになるのをどうにか抑え、僕は呟く。
「そうなったときに、彼女の幸せを願ってしたこのことは、返ってよくない方向に進む気がするんです。」
上司は何も言わず、軽く僕の肩をたたく。
「……今は、そうするしか道はないんだよ。」
言葉を理解しても、僕は下を向いたまま下唇を噛んだままだった。
121話 なんでなんだよぉ……。→←119話 お疲れさまでした。
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セブーレ(プロフ) - 及川パドルさん» ヒッ、ヒエーーー。怖すぎる・・・ (2019年3月13日 23時) (レス) id: 3aca8b7000 (このIDを非表示/違反報告)
及川パドル(プロフ) - セブーレさん» 次やったらマジでピーすぞ☆彡 (2019年3月13日 23時) (レス) id: b4e1cbb006 (このIDを非表示/違反報告)
セブーレ(プロフ) - 及川パドルさん» 更新頑張ってね!この前は本当にごめんなさい。( ノ_ _)ノ (2019年3月12日 7時) (レス) id: f60e44f631 (このIDを非表示/違反報告)
及川パドル(プロフ) - woo!順位更新!ありがとうございます! テスト終わったんでバリバリ書いていきます!!……多分。 (2019年3月1日 20時) (レス) id: b4e1cbb006 (このIDを非表示/違反報告)
及川パドル(プロフ) - お久しぶりです。及川パドルです。 ご報告です。 マジで参では終わらなさそうです(微笑)。 これあれですね、終わる終わる詐欺ってやつですね。すみません。 もう少しだけお付き合いしてくれればうれしいです。 (2019年2月16日 12時) (レス) id: c922ba8d0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:及川パドル | 作成日時:2018年10月6日 14時