君と繋いだ手の先へ part6【イナイレ】 (ページ40)

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メアリーに連れて来られたのは今は使われていない空き教室。
何故か鍵は掛かっていないため、サボりがちな生徒達の良いスポットだと聞いた事がある。
中に入ればカーテンは閉められていて薄暗く、少し埃っぽい。
出来れば長居はしたくない場所だ。

「早速ですが…ご用件をお話します」

教室の扉がピシャリと閉まったと同時に、さっきと比べて温度が下がった声が響く。
その瞬間に私の体は緊張で強張った。

「Aさん…単刀直入に言います。マークさんと別れてくださいませんか？」

静かに、はっきりと告げられた言葉。
笑顔の裏に隠された氷の刃が直接向けられているようだった。
彼女はこちらを見る事なく、カーテン越しに窓を見つめたまま。

「な、何を…」
「マークさんの将来はプロという世界でご活躍するのを約束された素晴らしいお方です。そんな方を支えられるのは、私が一番相応しいと思うのですが…どう思います？」

一体何を言われているのだろう。
最初の一言はあまりにも分かりやすい言葉だったけれど、私には到底理解出来ない…いや、したくない内容な訳で。

「私には財力があります。マークさんがこれから活躍するのに、何不自由なく環境を整えて差し上げられます。その力が貴女にはおありでして？」
「それは……」

確かに私はメアリーのような財閥のお嬢様じゃないから、地位もお金も無い。

だけど……