君と繋いだ手の先へ part6【イナイレ】 (ページ35)

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「まさかあんなに強引にくるとはな…」
「………」
「A？」

家まで残り数歩というところでマークが足を止めた。
ハッとして顔を上げれば、何も話さない私を気にしている彼の顔。
そして反射的に軽く後ろを振り向くと、そこにはまだ止まった車の窓からメアリーがこちらをじっと覗いていて。

「ご、ごめん！早く帰ろう！」

私は恐ろしくなり、咄嗟にマークの手を引いて急いで家の中に入った。
いつもより強い力で彼の手を握る。

そうしないと…簡単に離れてしまう気がしたから。

玄関に入りバタンと扉を閉めても、しばらくその場で立ち尽くしていた。

「A…部屋に行こう。ここだと風邪を引く」

今度は私を安心させるようにマークから肩を抱いてくれて、そのまま階段を上がって部屋に入る。
慣れ親しんだいつもの匂いに少しだけ安心した。

ベッドの端に並んで座る私とマーク。
微かにギシリと音を立てた。

「ごめんね…マークのせいじゃないって分かってるのに……」
「無理もないさ。もしこれがAと逆の立場だったら、俺だって堪えられない。だが…俺もちゃんと断れなかったのが悪いんだ」

グッと何かを堪えるように、膝の上で拳を握り口を固く弾き結ぶマーク。
私はそんな彼の拳をそっと両手で包んだ。

「自分を責めないで。言ったでしょう？貴方のせいじゃないって…それに……何よりも信じてるから」
「A…ありがとう」

彼は切なげに目を細めると、私を抱き締める。
じんわりと体を蝕んでいた棘が徐々に溶けていく。

この温もりが他の誰かのものになってしまう…
そんなの考えるだけで恐ろしい。
だから失わないように、私が守らないと。