君と繋いだ手の先へ part6【イナイレ】 (ページ34)

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「あ…もう降ろしてくれて大丈夫だ」

マークの家が見えてきたところで車を止めてもらう。
その瞬間、少しホッとしたのも事実。

「あら…もう着いてしまいましたか……」
「送ってくれてありがとう。行こう、A」
「うっうん……」

マークに続いて私も降りるのを見て、案の定メアリーは怪訝な顔をして口を開いた。

「待ってください。どうしてAさんも降りられるのですか？」
「そういえば言ってなかったな。Aは1年間留学しにきてて、その間は俺の家で暮らしてるんだ」

彼の言葉にメアリーの目が微かに揺れたのを私は見逃さなかった。
本当は知られたくなかったけれど、この状況だとそうはいかない。

「……そうなのですね。Aさんが羨ましいです。とても…」

ボソリと呟くようにして吐き出された言葉。
扉側に近かった私にしかきっと聞かれていない。
というより…完全に私を睨むような目をして言っていた。

「じゃあ、俺達はこれで…」
「あ…うん……送ってくれてありがとう、ございました…」

何とか平静を保ちながらも軽く一礼してから車に背を向ける。
背中にはあの冷たさが痛い程突き刺さってくるのを感じた。