君と繋いだ手の先へ part6【イナイレ】 (ページ28)

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いやいや…嬉しがってちゃダメだ。
せめて初日くらいは何か教えてあげた方が良いはず。

私は勇気を出してベンチに座るメアリーに声を掛けた。

「あの…メアリー。ドリンクとタオル配り以外にも仕事はあるから、それも教えたいんだけど……」
「…聞こえませんでしたか？休憩時間になったら声を掛けてください、と」

私に向けられる笑顔はあまりにも冷たいものだった。
背筋が凍るとはまさに今この時だろう。
それ以上何も言えなくて、私は彼女からそっと離れてリアナの元に戻っていく。

「やっぱり何を言っても聞かないみたい…」
「あんな子、相手にする必要ないよ。私達はいつもみたいに仕事しよう」

少し傷心気味の私の背中をポン、と優しく押してくれるリアナ。
それだけでもう元気が戻ってきた。
だから感謝の気持ちを込めて彼女に笑みを返すんだ。

私達はメアリーから言われた通り彼女に構う事なく、いつもの仕事をこなしていく。
その間メアリーは本当にベンチに座ってみんなの練習風景をただ眺めているだけだった。
信じられない光景だけど、やはりリアナにとっては何でもないみたいで。
だから私もなるべく気にしない事にしたんだ。