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「あ…ありがとう……」
「………」
私の顔を黙って見つめるマーク。
すると次の瞬間、ぎゅっと抱き締められた。
背中に回された彼の両手は微かに震えている。
「マーク…？」
「ごめん…Aに怖い思いをさせた。俺がもう少し見つけるのが早ければ…」
どうして彼が謝るのだろう。
貴方は何も悪くない…それを伝えたくて、私も慌てて口を開く。
「マークは悪くないよ…！悪いのは私…私が勝手に嫉妬して、こんな所に来たから……」
私がそう言えば、ゆっくりと体が離される。
「嫉妬って…もしかして、さっき教室で女の子達が集まってきた時か？」
ハッとした時にはもう遅い。
観念して俯き気味にコクリと頷いた。
こんな理由、呆れちゃったかな…
「だから教室を出て行ったんだな…」
「う…ごめんなさい……」
迷惑を掛けてしまったという申し訳なさから、また涙が出てきそうになる。
折角マークが日本に来てくれたのに、こんなんじゃ全然ダメだ…
そう思えば思うほど、涙が溢れてきて止まらない。
零れ落ちた涙はスカートで弾けて黒いシミを作る。
「A」
顎をクイっと上げさせられると、唇に触れた柔らかい感触。
あれだけ溢れていた涙もピタリと止んでしまう、彼しか出来ないおまじない。
「…やっと泣き止んだ」
「おまじない…効いたんだよ……」
目に溜まったままの涙もマークが拭ってくれる。
自然と笑顔が戻れば、彼もまた笑ってくれて。
私の涙を止めてくれるのはいつもマークだけなんだな…
「マーク…助けてくれてありがとう。これで二回目だね…」
「確かに出会った時を思い出すな」
あれはライオコット島に来たばかりの頃…
アメリカエリアで一人迷子になっていたのを、さっきみたいに知らない男達に連れて行かれそうになっていた。
そこを通りかかったマークがサッカーボールで撃退して助けてくれたんだよね。
マークとの…大切な出会い。
「私にとってマークはヒーローだねっ」
「ヒーローはヒーローでも、A専属だけどな」
「そうじゃなきゃ、嫌だよ」
もう一度顔を近付け合ってキスをする。
賑わう人々の声も、今だけはとても遠くに聴こえてきてしまう。
そうなればもう…私達二人だけの世界だ。
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結川(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！ (2021年9月19日 1時) (
レス) id: d45f7778dc (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 続編おめでとうございます！高評価しました！ (2021年9月18日 16時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年9月18日 16時
