君と繋いだ手の先へ part2【イナイレ】 (ページ43)

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やけにその言葉がゆっくりと聞こえたんだ。
少しだけ顔を赤くしながらも、マークは私の目をちゃんと見て言ってくれた。
意味を理解し始めた頃、私の胸の鼓動が徐々に速くなっていく。

「え…それって……」
「悪い、変な意味じゃないんだ…今日で最後だから…ただ俺と一緒に寝て欲しいだけなんだが……すまない、やっぱり今のは忘れて…」

「…いいよ……」

小さく呟くように出した答え。
本当に小さな声だったけど、目の前にいる彼にはもちろん耳に届いていた。
驚いた顔で私を見るマーク。
その視線が恥ずかしくて、咄嗟に俯いてしまったけれど。

「え…いいって、お前…」
「私も…マークと一緒に居たいから……最後の夜も、ずっと…」

恥ずかしさを紛らわす為にスカートの裾をギュッと握る癖。
握った拳が僅かに震えている。
それでも…この想いを伝えるには、今しかないから。

すると次の瞬間、私はマークに抱き寄せられた。

「本当に…いいんだな？」

返事をする代わりにコクリと小さく頷く。
私の腰に回されている腕にキュッと力が入ったのが分かった。

それだけで、貴方が嬉しく思ってくれているのが伝わってくるよ…

「あ…他のマネージャーの子に連絡だけしておくね」

一旦体を離すと、私は携帯を取り出して秋ちゃんに電話をかける。
二回くらいコールがした後、向こう側から“もしもし”と声が聞こえてきた。

「もしもし、秋ちゃん？今いいかな…？」
『うん、大丈夫よ。どうしたの？』
「えっと…今日、私…他の所で泊まってきてもいいかな……？」

正直、さっきよりも緊張している。
流石にマークの部屋で…とは言えなくて、濁してしまったけれど…

『なんだ、そんな事。もちろんいいわよ』
「えっ…いいの？」
『ダメな訳ないじゃない。他のみんなには上手いこと説明しておくから！あ…でも、朝にはちゃんと戻って来てね？』
「秋ちゃん…ありがとう！」

あっさりと承諾してくれた秋ちゃんに少し拍子抜けしたけれど、その優しさを改めて実感出来た。
特に詳しくは聞いてこないところが、彼女なりの深い優しさだ。
何度彼女に助けられてきた事か…感謝してもしきれない。