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それからまだ時間が少しあるため、練習場から出て再びエリア内を歩く。
「あ…ここって……」
ある場所の前でまた足を止める。
隣を歩く彼も同時に止まって、私の視線の先を見た。
思わず足を止めたその場所は思い出の公園。
「俺達が結ばれた場所…だな」
「うん…」
マークと出会って数日後、私はこの公園に呼び出されたんだっけ。
私の目を真っ直ぐな目で見つめて、想いを伝えてくれた彼。
私達の始まりの場所であり、大切な場所。
「あの時は本当にオーケーを出してくれるとは思いもしなかったよ」
「私だって、まさか告白されるなんて思ってもみなかった。でも、私もマークが好きだったから…本当に嬉しかったの」
マークと出会ってから今までずっと、私のドキドキは続いている。
これからもきっとそれは変わらない。
私と彼の想いが重なっていく限り。
公園を後にし、次は夕食を取ろうという事でレストランに入る。
どうやらマーク達はよくこのお店に足を運んでいたらしい。
落ち着いた雰囲気で少し大人っぽい店内に少し心が弾んだ。
こういうお店に来るのが小さな夢だったりしたから。
二人で席につき、メニューを眺めていると…
「おや？マークじゃないの！最後の夕食はうちに来てくれるなんてねぇ」
店主の方らしき女性がマークに声を掛けてきた。
彼もまた笑って彼女と会話を続ける。
「ああ、今日はデートだったんだ。彼女にも一度この店の味を覚えていって欲しいと思ってさ」
「あらまぁ、やるねぇ！こんなに可愛い彼女を連れて来てくれるとは。今日は色々サービスしちゃおうかしら！」
可愛い彼女…そう言われて照れないはずがない。
そんな照れている私をマークが愛おしそうに見つめていた事に、私は気付かなかった。
そして食事も取り終えたところで、マークの宿の前まで戻ってきた。
日も沈んで、辺りはもう暗くなり始めている。
「もうこんな時間か…早いものだな」
「本当にね。マークと居ると、時間が経つのはあっという間だよ」
彼は俺もだ、と言って笑ってくれて。
その笑顔が今は少しだけ私を切なくさせる。
今日はもう…この手を離さないといけない時が、来ちゃったかな……
「…なあ、A。一つ頼んでもいいか？」
「？うん、いいよ」
少しだけ訪れる沈黙。
何処か言うのを迷っているような彼の様子に、私は口が開かれるのを静かにただ待っていた。
「今夜は…俺と過ごしてくれないか？」
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月23日 16時
