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ユニコーンの宿の近くに来た時、私は一度足を止める。
「マーク達がいつも練習してる場所だ」
宿の裏側辺りにあるサッカーコート。
マーク達が毎日練習を重ねていた場所。
「あんなに毎日練習していたのに、もうここで練習する事もないんだな…」
「…ねえ、ちょっとだけ入ってもいいかな？」
「え？別に構わないが…」
急なお願いにもかかわらず、彼は快く承諾してくれた。
一緒にコートの中に入り、私は籠の中に入ったサッカーボールをひとつ取り出す。
「マーク！」
彼に向かって少しだけ高く蹴り上げたボールを、彼は驚きつつもちゃんと受けてくれた。
「私とサッカーしよう！」
「…ああ、もちろん」
笑顔でそう答えてくれた彼に、私も笑顔で頷く。
夕暮れのオレンジ色の光に照らされる中、私達は飽きるまでボールを蹴っていた。
サッカーといっても私は実際にやるのは苦手だから、私が蹴ったボールをマークが優しく蹴り返してくれたり、私の見様見真似なドリブルからボールの取り合いをしてみたり…
ずっと笑い合いながら楽しんでいた。
「まさかAとサッカー出来るとは思わなかったよ」
「でも、マークは私に合わせてくれてたからあんまり楽しくなかったでしょ…？」
散々付き合わせといて今更聞くのもどうかと思ったけど、彼はその問いに対して首を横に振ってくれた。
「まさか。これはこれで楽しかったぞ。それに…」
「？」
「Aがボールを蹴る度に良いものが見れたからな」
言っている意味が分からず、しばらく考えてみる。
私がボールを蹴る度に…？
……あ…
「！マっマークの馬鹿！変態！！」
「はは、仕方ないだろ。見えるんだから」
思わず両手でバッとスカートを押さえて叫んだ。
私の格好はいつもの制服であり、スカートを履いている。
そんな格好でボールを蹴れば、スカートが揺れて中が見えてしまうのは当たり前といえば当たり前…なのだけれど。
自分がスカートだった事は全く意識していなかったし、まさかマークが黙って見ていたなんて思わなかった。
やっぱり男の子だな…
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月23日 16時
