君と繋いだ手の先へ part2【イナイレ】 (ページ29)

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寝ているみんなを起こさないようにそっと廊下を歩いて外に出る。
入り口を出てすぐの塀辺りに立っていると、後ろから肩をトントンとされる感覚が。

「悪い、待たせたか？」
「マーク…！」

さっきから頭の中を占めている彼を見て、私は思わず彼に抱きついてしまった。
こんなわがままに文句一つ言わず、こうして会いに来てくれる優しさが…相変わらず私の胸をいっぱいにしてくれる。

「おっと…これは嬉しい出迎えだな」
「夜遅いのに来てくれてありがとう…本当に迷惑じゃなかった…？」
「迷惑だったら来てないぞ。お前に呼ばれて行かない訳ないだろう」

優しく笑って頭を撫でてくれるマーク。
本当、私にはもったいないくらいの人だ…
それでも…もう手離す事は不可能だけれど。
だから私を選んでくれた事にこの先ずっと感謝するだろう。

「取り敢えず…場所、移動するか？」
「うん…そうだね」

この時間に宿前で話す訳にもいかず、私達は海辺へと場所を移す事に。
早朝に二人で海辺に来た事は何度かあったけれど、夜に来るのはこれが初めてだ。
やはり朝と夜で見る海は全然違う。
耳に届く静かな波の音が心地良い。

「こうしてAとここに来るのも、何回目だろうな」
「朝はいつも来てるもんね。もう十回以上は来てるんじゃないかな？」

いつからかマークと何かする事の回数は数えていない。
会った回数、手を繋いだ回数、キスをした回数…
もう数えられないくらい、経験してきたから。

二人並んで砂浜に腰を下ろす。
少しの間だけお互い何も話さない。
彼は…私から話したいと思う時を待ってくれているんだ。

いつも、そうだった。

「…明日の事、考えてたら…眠れなくなっちゃって……マークと会えば落ち着けると思ったの…ごめんね、こんな理由で呼び出して……」

何となく彼の顔が見れなくて、自分の足元を見ながら素直に話した。

「そうか。正直、俺の事が思い浮かんでくれて嬉しい…やっぱりこうして会いに来て正解だっな」

私の肩を抱き寄せてくれて、体同士がくっつき合う。
触れ合った部分がじんわりと温かくなっていき、騒ついていた心がより落ち着くのが分かった。