・ ページ15
ゴロゴロゴロゴロ！！
思わず声を上げてしまうほど一際大きな雷が鳴り響く。
試合を続行するかどうか悩んでいると…
「！？きゃあっ！！」
突然、私と春奈ちゃんのしていた腕輪が光り始めたのだ。
さっき見た一瞬だけ光るのではなく、今度は継続して光っている。
「ど、どうしてこんな…！」
「何なんですか…？」
「これ…夏未さんの言ってた話の…」
冬花ちゃんの言葉にハッとした。
ライオコット島に伝わる魔王伝説…
もし本当なら、この腕輪は……
「まさか…あれは伝説よ！？」
「あの爺さん達、絶対怪しかったもん。やっぱり何かあるんだよ！」
塔子ちゃんがそう叫んだ、次の瞬間。
「「「うわああぁっ！！」」」
グラウンドの隅に立つ照明に大きな雷が落ち、同時に突風が吹き荒れて思わず顔を背けてしまう。
一体何が起こってるの…！？
そして風が収まった頃…
「円堂さん、上！」
立向居君が円堂君の居る方のゴールの上を見て叫ぶ。
私達も見てみると、そこにはいつの間にか一人の男の子が立っていた。
背中には翼のようなものが付いていて、とても不思議な格好をしている。
「何だよお前！」
男の子は薄ら笑いを浮かべたまま天高くサッカーボールを蹴り上げる。
彼も空高くに飛び上がると、もの凄い威力のシュートをこちらに放ってきた。
グラウンドを突き進んでいくボールの衝撃波にみんな次々と吹き飛ばされてしまう。
「っ…！……え…？」
衝撃に瞑っていた目を開けると、目の前にはさっきの男の子が立っていた。
「迎えにきた…」
「迎え、に…？いっいや…！」
すると彼は私に向かって手を伸ばしてきたため、私は彼の手を拒もうと必死で抵抗する。
「A！？Aに触るなっ！！」
「！マーク…！」
そこへマークがこちらに向かって走って来てくれた。
私も彼へと腕を伸ばすけれど…
「人間。邪魔をするな！」
「！？ぐっ…！！」
男の子が放つ強烈なシュートを受けてしまい、マークはその場で蹲るように倒れてしまった。
「マークっ…！！」
「これ以上の邪魔立ては、恐ろしい結末を迎える事になるぞ」
彼はこちらに振り返ると、人差し指を額に当ててくる。
その瞬間、意識が段々と遠のいていくのを感じて…
「A…！」
最後に見えたのは、苦しげに私の名前を呼ぶマークの姿だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月23日 16時
