君と繋いだ手の先へ【イナイレ】 (ページ9)

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「さて、そろそろ食堂の方に…」

「A？」

宿に戻ろうとした時、後ろから私の名前を呼ぶ声が。
反射的に振り返ると…

「！貴方は、マーク…？」
「やあ。こんな朝早くに会えるなんてな」

そこに居たのは昨日助けてくれたマークだった。
思わず彼の元へ駆け寄る。
朝日に照らされた彼の髪がキラキラと輝いていてとても綺麗…

「おはよう。こんなところまでランニング？」
「まあ、そうだな。…いや、それは口実なんだ」

マークはどこか照れたように頭をかく。

「本当はまた君に会えないかと思ってさ」
「えっ…」

思ってもみなかった事を言われて思わず彼の顔を凝視する。
彼もまた私を見つめて微笑んでいて…

「これからマネージャーの仕事か？」
「あ…うっうん。みんなの朝ごはんを作らないと」
「そうか。大変だろうが、頑張れよ。じゃあ、またな」

マークはランニングを再開すると行ってしまった。

また会えた……
昨日の今日だけど、やっぱりすごく嬉しい。
それに“またな”って…
次が約束されているみたいで、それがさらに私を喜ばせる。

「あ、おはようAちゃん。相変わらず早いわね〜」

今度は宿から秋ちゃんが出てきた。
朝日が眩しいのか、目元に手をかざしながら目を細めている。

「おはよう、秋ちゃん。体内時計が出来てるからかな…これが普通になっちゃって」
「私も見習わなきゃね。早速だけど、朝ごはんの準備手伝ってくれる？」
「うん、もちろん」

まだ胸の高鳴りが続いてる。

“本当はまた君に会えないかと思ってさ”

さっきマークに言われた言葉がずっと頭の中に響いていた。
特に深い意味なんて無いだろう。
かと言って、どういう意味で言われたのかも分からないけれど…

私、昨日からずっとマークの事ばかり考えてる。

まさかそんな…きっと違う、はず……
昨日出会ったばかりの人を好きになるなんて事は…

これ以上考えたくなくて、私は目の前のやるべき事だけに集中する事にしたんだ。